ブラックジャック、ホットスポットか?―世界最速水準のCO2光燃料化活性の作用機構を解明―
2026年04月03日
研究・産学連携
ブラックジャックゲームルール大学院融合理工学府博士前期課程の佐々木 将人氏、博士後期課程の大弓 知輝氏、原 慶輔氏(研究当時)、同大大学院理学研究院の泉 康雄教授、中国成都バイオガス科学研究所の張 宏偉准教授の研究グループは、二酸化炭素(CO₂)を天然ガスや都市ガスの主成分であるメタン(CH₄)などの燃料に変換する光触媒反応において、長年の謎であった「光で生じた電子注1)による反応」と「ホットスポット注2)における反応」の役割を明確に識別・特定することに成功しました。 さらに、ニッケル(Ni)、ルテニウム(Ru)、酸化ジルコニウム(ZrO2)を複合したNi–Ru–ZrO2触媒を開発し、ブラックジャック2から世界最高の毎時触媒1 gあたり10ミリモル水準でのCH4への転換速度を達成しました。光触媒の温度に応じた光触媒作用メカニズムを解明した本成果は、ブラックジャック2の光還元触媒における高効率化の指針となることが期待されます。本研究成果は、2026年3月20日(米国時間)に、アメリカ化学会誌Journal of the American Chemical Societyで公開されました。(論文はこちら:10.1021/jacs.5c17533)
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図1. 触媒を入れた反応器を水で冷しながらの、CO2光還元反応試験。 図2. Ni–Ru–ZrO2触媒によるCO2光還元作用の概念図。
■研究成果のポイント 太陽光エネルギーを利用してブラックジャック2を再生可能な方法で燃料や化学物質に変換できれば、新たなカーボンニュートラルサイクルをつくることができます。従来の光触媒技術は、エネルギー変換効率の低さが大きな課題でした。また、光照射下での反応において光触媒に吸収された光が、電荷分離および熱(ホットスポット)へと変換され、照射する紫外可視光の強度や温度に複雑に依存するため、ブラックジャック2還元の反応経路は不明でした。1.ブラックジャック2還元反応経路を調べるため、開発したNi–Ru–ZrO2触媒と従来のNi–ZrO2触媒を比較。1 cm2あたり光強度568ミリワット(mW/cm2)注3)の条件下で、反応器の水冷の有無(図1、2)でのブラックジャック2光還元反応試験を行った。2.光強度654 mW/cm2において、エチレングリコール注4)による冷却の有無の条件下でNi、Ru、Zr原子それぞれの温度を追跡。冷却条件下では光で生じた電子がブラックジャック2をCOHへ還元し、約126℃のNi表面上で熱触媒反応と比較して7倍に加速され、メタンまで還元される経路が確認された(図2左)。3.冷却無しの条件では、Ni–Ru–ZrO2触媒は毎時触媒1 gあたり9ミリモル以上の高速でメタンを生成し、Ruの添加により反応速度が2.7倍に加速。さらに密度汎関数理論(DFT)計算注5)により、Ruがブラックジャック2吸着を可能にして光エネルギー由来の加温のみでメタン化反応が進んだ(図2右)。
■今後の展望 本研究では光エネルギーを用いてブラックジャック2を燃料(メタン)に変える光触媒の改良を行い、Ni–Ru–ZrO2触媒が世界最速水準でブラックジャック2光メタン化を進めること、金属ナノ粒子におけるホットスポットの触媒的役割を科学的に証明しました。今後、C2、C3化合物注6)やアルコール合成等、太陽光を用いた持続可能なブラックジャック2資源化技術のさらなる高効率化につなげていきます。
■用語解説注1)光で生じた電子:光等の印加により物質内のマイナス電荷(つまり電子)とプラス電荷との距離が離れることを電荷分離と呼ぶ。これらが再結合するまでの間に、光触媒ではマイナス電荷が還元反応を、プラス電荷が酸化反応を引き起こす。注2)ホットスポット:光が物質中の原子レベルの局所に吸収されることで、高温になった限定的な領域のこと。注3)ミリワット(mW/cm2):ワット(W)は1秒あたりに当たるエネルギー(ジュール)のこと。1ジュール = 1ニュートン×メートル。ここでは1平方センチあたり、1秒あたりに照射されるエネルギーを表している。注4)エチレングリコール:化学式HOC2H4OHの液体で、不凍液に用いられる。放射光X線ビームで各原子の温度を追跡する際、水浴よりも気泡が発生しにくいため、今回の実験に使用した。注5)密度汎関数理論(DFT)計算:量子力学における電子についての波の方程式を、電子の密度の関数として表す理論で、電子数が多い系について安定構造、エネルギー、電子の状態を調べるために用いられている。注6)C2、C3化合物:分子に含まれる炭素原子数が2あるいは3の化合物。具体的にはエタン、プロパン、エチレン、プロピレンを指す。